• まぐ

NIにやられた日

正直、こんな記事を書くことになるのが非常に悔しい。


悔しくて仕方がない。


けど、認めざるを得ない。



――マジやるやんけ、NI・・・!!!!



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先だって注意したいのは、シンセとして出せる音というのは、今も昔も実はそんなに変わりはないということ。

そういう意味では、極論、ガチのアナログシンセを手に入れた方が、よほどアナログ感も出るので味がある音作りができる。

つまみを手で触りながら音を確認できるので、触覚、聴覚で感じることができるため、音作り初心者にはその方が良かったりする。



今回この記事を書いた一番の目的は、決して「聴いたことない音を出すシンセが出た!」とかというわけではなく、「ソフトシンセという枠組みの中で見て、完成度のかなり高いものが出た」という点についてまとめたものである。


そして、「だからみんなも使おう!」という記事でも決してない。


ここ、はき違えると、かなり拗れるので注意です。


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2019/6/30、友人のじろーくんが我が家に遊びに来た。


目的は、彼が手に入れたMassive X。

すごいシンセだ、と言ってたのと、色々と触らせてもらえるということだったので、せっかくだし触らせてもらおうと思ったのだった。


正直な話、「とはいっても、アナログシンセだろぉ?ES2レベルの弄りができればいいんじゃね?」くらいに思っていた。


9:40頃、最寄り駅に到着。

ブランチとして、外食でちょいと多めに食べた後、我が家へ。

私の新譜の話とかをいろいろした後で、いよいよ本題に。



是非ともNIのサイトを覗いてほしいけど、まずUIが非常にユースフルに進化している。


初代Massiveは、正直UIが(個人的に)クソ過ぎて全く使う気が起らなかったが、Xは全く違う。


どこに、何が、どのように構成されているかが、一目でわかる。


これだけでも、初代を軽く上回る。

けど、こいつのすごいところはそんな見た目が綺麗とか、デフォで入っているプリセット音が良いとか、そんなチャチな話じゃなかった。



①素体波形の選択・調整が直感的に操作できるようになっている

UIの話にも多少つながるけど、単純波形だけでもいろいろと音色があり過ぎた。

早い話、SIN波、矩形波、SIN波と矩形波の中間の音、みたいなかんじで、中途半端にそろい過ぎていた。

素体の音がちょっと違うから、というだけで、わざわざ2クリック、3クリックやらないといけないという、地味に嫌な面倒くささがあった。


しかしMassive Xは、SIN-TRI-SQR みたいな感じで一つになっており、無段階調整のつまみで自由な比率に調整することができるようになっている。


これは、音作りをする身としては非常にありがたい。

手間がかからなくなるだけではなく、ミリ単位での音の調整が可能になるからだ。


そのうえ、基本波形だけでも相当な種類がある。それも、初代のように似通った音ばかり、とかというわけではなく、それぞれがそれぞれしっかりカラーを持っているので、うまく使い分けができるようになっている。



②OSCとは別にノイズオシレータが2発用意されている

そのままである。OSC2発とは別に、ノイズオンリーのOSCが2発用意されている。

しかも、ホワイトノイズやピンクノイズといった基本ノイズはもちろん、機械音などのインダストリアルな音や、犬のいびき(!?)のようなものも含め、色々なノイズが用意されている。


サウンドメイクをする際に、ノイズは非常に重要になってくる。

そのうえでノイズを全部聴いていったが、一発ネタ的な音というわけではなく、それぞれがそれぞれ、音作りの可能性を持っているノイズ達ばかりだった。犬のいびきも含めて。



③Env、LFO、PTNが作りやすくなっている

機能的には初代からあったとは思うけど、UIの改善により、デフォルトでEnv編集画面が下に出るようになっている。ちょっとした改善ではあるけど、これはこれで嬉しい。



④内部回路を弄れる

ぶっちゃけ、ここが一番おいしい。

Reaktorレベル、とはいかないまでも、OSC、Filter、Effector、Amp、等に対し、自由に配線をすることができる。

無論、I/Oが固定されているものもあったりはするが、フィードバック回路(ちゃんと用意されてる)を作って音を変化させる、なんてこともできるし、フィルターに通す通さないの切り替え等、できることがいろいろある。

しかも、まだ解析しきれてないけど、「MOD」なる端子が二つ。将来的にアップデートで、外部音源から入力したり、ということも出来るようになるのではないかと睨んでいる。



⑤素体波形の音質が良くなった

すべてのエフェクター等を切った状態で、素体の波形を鳴らして確認してみたが、明らかに音が良くなっている。


言いたくはないが、音質・UIの使い勝手・可能性、この3つの点で、ES2を超えてしまっている。



しかし、しかしだ。



だからといって万能選手か?というと、そうでもない。

確かに、今まで見たソフトシンセの中では、個人的に現状100点に一番近いといえるMassive Xだが、大きな欠点もある。



それは、とにかく重い。

ある意味、使う人によっては致命的な欠点かもしれない。


どのくらい重いかというと、グラニュラーシンセ「Alchemy」の、デジタル波形のPad音を鳴らすときと同じくらい、いや、それより重いかもしれない。

実際に自分のPCで使ってはいないので比較できていないが、なかなかにスペックが要求されるシンセである。


ちなみにじろーくんのmacbookは2015のairだったはずだが、

3つ挿して動かすと再生できなくなる。



なので、フリーズ機能フル稼働だったという。


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NIは、Massive Xについて

「今後10年を担うシンセ」

と豪語している。


最初聴いたときは正直鼻で笑っていたが、実際に触ってみてなるほど納得だった。


昨今のPCスペックの上昇速度を考えても、近いうちに初代Massiveのように、

軽い、と呼ばれる時代になってしまうだろう。

おそらく、その点も見越してのこの性能なのではないかと思う。


しかし同時に、Logicユーザーとして語るのであれば、このシンセがより普及してもなお

ES1、EFM1は使い続けるだろうな、とも断言できる。

それは、単純な音の良さ、そして、超直感的に音作りをできる、UIの美しさ故。


Massive Xは確かにすごいが、だからといってそれにすべてゆだねるのではなく、

必要な時に必要な音源で、必要な音を作っていくのが肝心要なのだろう。



いつも言ってることだが、改めて言おう。

「シンセに、音に振り回されるな。それは私たちが振り回すものだ」



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